北極や北太平洋でよく見かけるセイウチとトドは、似ている部分もありますが見分けるポイントがいくつかあります。ここでは外見や行動、生態などからすぐに判別できる特徴を分かりやすくまとめます。写真や観察時に役立つ実用的なコツも紹介しますので、海浜で見かけたときに判断しやすくなります。
セイウチとトドの違いをすぐに見分ける6つのポイント
セイウチとトドを短時間で見分けるには、体格、顔つき、牙、毛の有無、泳ぎ方、そして生息地の6点に注目すると分かりやすいです。まずは全体像をざっくり把握しておきましょう。
体格を見ると、セイウチは非常にがっしりしていて体高が低く横に広い印象です。トドは胴長で首が目立ち、立っていると垂直方向に見えます。
顔つきはセイウチが扁平でひげが密、生えた長い牙が目立ちます。トドは短めの牙で鼻先が尖り、顔の輪郭がシャープです。
毛の量はセイウチが薄く、皮膚の皺が目立つ一方、トドは成獣で濃い体毛があり季節で抜け替わります。泳ぎ方はセイウチが胸鰭で泳ぎ、のんびりした動きが多いです。トドは後肢を使って推進し、素早く泳ぎます。
生息地ではセイウチが氷縁や浅瀬の多い北極圏に多く、トドは沿岸の岩場や港湾に集まることが多い点も参考になります。
外見でわかる主な差
外見の差は観察しやすく、特に頭部や牙、体毛、前後肢の使い方に注目すると識別が楽になります。ここではそれぞれの特徴を順に説明します。
頭部はセイウチが幅広く扁平で、顔全体が平らな印象です。トドは頭が丸く、鼻先が尖って見えます。牙はセイウチの方が長く太く、下あごから伸びる二本の牙が大きな目印になります。トドの牙は短めで目立ちにくいです。
ひげはセイウチが厚く硬い剛ひげで密集しています。これで海底の貝などを探るため触覚として使います。トドの口まわりのひげは細く短めで、セイウチほど密ではありません。
体毛はセイウチがごく薄く皮膚が見えることが多いのに対し、トドは成熟すると濃い毛皮があり、特にオスは首まわりにたてがみ状の毛が出ることがあります。
前肢と後肢の使い方にも差があります。セイウチは前肢を器用に使い、胸鰭で海底を押したりすることが多いです。トドは後肢の回転で推進し、上陸時には前肢を支えにして体を引きずるように移動します。
成長や性差で外見は変わります。オスのトドは特に大きくなり、首周りがより発達します。セイウチもオスの方が牙や体格が目立ちます。
分類や体の作りが示す違い
分類学的にも生態的にもセイウチとトドは異なるグループに属しており、それが体の作りや行動に反映されています。ここではその違いをわかりやすく説明します。
セイウチはアザラシ科ではなくセイウチ科に属し、トドはアシカ科に含まれます。これにより骨格や四肢の機能が大きく異なります。トドは後肢が体の下に回転できるため陸上で四足歩行のように体を支えることができます。
歯や顎の構造にも違いがあります。セイウチは前歯の牙が発達し、貝類を割るための力強い上下の顎を持っています。トドは鋭い犬歯状の歯で魚をつかむのに適しています。
繁殖の仕組みも異なり、トドは陸上のコロニーでの繁殖行動が活発で、オスは繁殖期に縄張りやハーレムを作ることがあります。セイウチは海氷や沿岸の集団で繁殖し、母子の結びつきが強い傾向にあります。
成長や寿命の目安では、どちらも長寿ですがトドの方が個体差が大きく、セイウチは比較的均一に大きくなります。進化の流れを見ると、両者は陸上哺乳類から海に適応してきた点は同じでも、それぞれ別の道をたどって現在の形になっています。
暮らし方と行動の違い
生活圏や集団行動、餌の取り方などは両者でかなり違います。観察するときはこうした行動パターンも見分けの手がかりになります。
分布域ではセイウチが北極圏の氷縁や浅い大陸棚を好みます。季節により氷の位置に合わせて移動する習性が強いです。トドは北太平洋沿岸に広く分布し、港や岩礁近くに定着する個体が多いです。
餌はセイウチが二枚貝や底生生物を主に食べます。長いひげで海底を探り、強い顎で貝をこじ開けます。一方トドは魚を中心に捕食し、狩りの際に集団で行動することもあります。
群れの形はセイウチが大きな群れを作ることがありますが、トドは繁殖期にオスが集団を率いる社会構造が見られます。港や浜辺ではトドの方が人に近い場所に現れることが多く、場合によっては人間活動の影響を受けやすいです。
環境変化は両者に影響しますが、食物連鎖や氷の減少はセイウチに特に大きな影響を与えます。トドは沿岸生態系の変化や漁業との関係で個体数が変動することがあります。
写真や観察で役立つセイウチとトドの見分け方
実際の観察では、写真や近くでのチェックポイントを覚えておくと便利です。ここでは撮影と観察で押さえるべき具体的なポイントを挙げます。
まず全身写真が撮れれば体型の違いを確認してください。胴長で首が目立てばトド、幅広く扁平ならセイウチが疑われます。顔のアップでは、長く太い牙と密な剛ひげがあればセイウチです。
動いている様子も写真だけでなく動画で撮ると分かりやすくなります。泳ぎ方では胸鰭でゆっくり進むのがセイウチ、後肢の推進で素早く泳ぐのがトドです。陸上での移動は、後肢を使って体を持ち上げるようならトド、腹ばいでずるずる移動するならセイウチを疑ってください。
観察時の注意点として、距離を保つことと動物を驚かせないことが大切です。望遠レンズや双眼鏡を使って安全な範囲から観察しましょう。また、潮汐や天候で見られる場所が変わるため、時間帯や季節も記録しておくと種の判断に役立ちます。

